いかなごのくぎ煮に釘を入れる理由と実際の話

いかなごのくぎ煮は、神戸の「須磨(すま)」や「垂水(たるみ)」等の港町周辺では有名なお惣菜の一つで、鮮度の良い生の「いかなご」で作る事が「美味しさの秘訣」と言われています。
神戸の港町周辺では、2月後半から3月上旬に行われる「いかなご」漁が解禁される事を毎年楽しみにされている方も多く、一昔前でしたら、解禁後は各家庭の台所近くから「くぎ煮」の香りがしてくるとも言われています。

 

水飴を加えたり、はちみつを加えたり、黒糖を加えたりと、その家庭によって沢山のオリジナルレシピが存在するのも面白いです。
また、最近では、いかなごのくぎ煮をアレンジして、和風ポテトサラダに加えたり、お焼きに加えたり、和物に加えたり等をされる方も増えています。

 

煮物に釘を入れる理由

いかなごでは無く、「黒豆」を居る時は、「鉄鍋」で煮たり、「鉄のサプリメント」「鉄釘」等の「鉄」もしくは「鉄分」を加える事によって、黒豆が黒豆らしい仕上がりになり、美しい黒色に煮えます。
もし、黒豆を煮る場合に「鉄」や「鉄分」を加えなかった場合、黒豆が「赤茶色」になります。

それが、いかなごのくぎ煮と混同されてしまったらしく、いかなごのくぎ煮に「釘」を入れると言う誤解が生じたと言われています。
実際、いかなごのくぎ煮に、鉄釘を入れて煮たからと言って仕上がりが変わる事は有りません。

ただ、日頃から鉄分が不足しているのでしたら、鉄釘や鉄サプリメントを加えてみても良いとは思いますし、いかなごのくぎ煮に限らず、「鉄鍋」で調理する事を意識すれば、全く摂取しないよりは、鉄分を摂取する事が出来ると思います。

結論を言わせて頂きますと、いかなごのくぎ煮に釘を入れるのは、「間違い」です。

 

くぎ煮に釘を入れると勘違いされた経緯

最近はあまり見なくなって来ましたが、工事現場跡や道端等で、「鉄の釘」が錆びて「くの字」に折れ曲がって落ちているのを見た事が有ると思います。

いかなごに限らず、「醤油」「味醂」「砂糖」「生姜」で煮た場合、煮詰まって来ると濃い赤茶色になり、「いかなご」等は「くの字」に折れ曲る場合が有ると思います。

 

その様子がくの字に折れ曲がって赤茶色く錆びた釘を連想させてくれますので、「くぎ煮」と呼ばれるようになりました。

正式な記録等は残っていないとされていますが、「釘似」と書かれていた場合も有ったと言われています。

 

いかなごの釘煮の作り方とアレンジレシピ、砂糖の量について

もちろん、いかなごの釘煮は歴史が長いので、色々なレシピがあるのが普通です。
次のレシピと作り方が正解!と言う訳ではありません。あくまで一つの作り方として理解して頂くのが良いと思います。

■イカナゴ 1キログラム
■濃い口醤油 180CC
■砂糖 300グラム
■みりん 20CC
■生姜 100グラム
■酒 5CC

がレシピとしては多いのかな?とは思います。
濃い口醤油だけでは無く、仕上げに「たまり醤油」を使う人も居ますし、砂糖と言っても、「ざらめ砂糖」を使う人も居ます。

生姜に関しては、自分で太めの千切りに切るのが理想ですが、時間が無い人は、「生姜ペースト」を使う場合もあります。
調理時間的には、長くても1時間以内に仕上げてしまう人が多いですね。

いかなごの釘煮の基本的な作り方としては、

■いかなごを水洗いする
■ザルに上げて水を切る
■鍋に濃い口醤油、みりん、砂糖、酒、生姜を鍋に加えて強火で煮立たせる
■煮立たせてから、いかなごを鍋に加えて中火
■加えた後は、基本的に混ぜないのがポイント(揺する位)
■アクをすくった後は、落し蓋をする
■汁気が無くなって来たら弱火にしてザルに上げ、煮汁を別の容器に入れる
■適度な煮汁を戻して冷やす

これで完成です。
完全に煮詰まらせてしまうと塩辛いので、慣れない内は、味見しながら煮詰めて行くと失敗しにくいですね。

アレンジレシピに関しては、「卵焼き」「マヨトースト」「ちぢみ」「お好み焼き」「パスタ」「野菜炒め」に入れる人も居ますが、かなり、いかなごの釘煮が好きな人じゃ無いと難しいんじゃ無いかな?って感じます。

 

いかなごの釘煮の保存方法と賞味期限について

市販品のいかなごの釘煮の場合は、常温保存で1ヶ月〜3ヶ月と言う場合も多いのですが、私達が作った場合は話は別です。
基本的に、ジップロック等の気密性の高い容器に入れ、冷蔵保存するのが正解です。

いくら、砂糖と醤油で味付けし、水分が少ない仕上がりにしても、常温は危険過ぎますね。
それに、調理された後、常に酸化して行きますので、冷蔵保存で1週間〜2週間以内には食べきるようにしたいです。

美味しさと安全を考えた場合は、1週間位ですね。
ジップロック等で空気に当たらず小分けで冷蔵保存している場合は、3ヶ月〜6ヶ月位は持つと言われていますが、温度変化が激しい冷蔵庫のドア付近では無く、奥の方に入れた方が良いですね。

冷凍保存に関しては、最長で1年程度と言われていますが、可能な限り温度変化が少ない奥の方に入れた方が良いですね。
調理時に砂糖が沢山使われていますので、ガチガチに凍ると言う事は起こりにくく、自然解凍で十分です。

冷凍保存したいかなごの釘煮を電子レンジで解凍してしまった場合、ガチガチに凍ってしまう可能性が高いので注意です 笑