三社祭礼囃子の歴史的背景と笛、祢里の魅力

「三社祭礼囃子(さんじゃさいれいばやし)」の「祭礼囃子(さいれいばやし)」とは、「祭囃子(まつりばやし)」とも呼ばれ、祭りの時に演奏される音楽の事です。

江戸時代当時、「葛西囃子(かさいばやし)」が流行しており、遠州横須賀の城主が「遠州横須賀三熊野神社大祭」に取り入れさせ、独自に発展させた祭囃子の一つです。

 

現在の形になったのは、「明治初期」頃と言われており、遠方から遥々「三社祭礼囃子」を芸術の域にまで磨き上げる目的で駆け付けて来られたと言われ、現在では「静岡県無形文化財第一号」に指定されています。

現在でも「遠州横須賀 三社祭礼囃子保存会」の熱心な取り組みによって守られてますので、本当に素晴らしい事だと思います。

 

「遠州横須賀三熊野神社大祭」は、360年以上前の「慶安」の時代には存在していたとされる祭りで、「江戸天下祭」から大きな影響を受けた事が始まりとされています。

毎年4月の第一週目の金曜日・土曜日・日曜日に開催され、「ソメイヨシノ」「ヤマツツジ」等の開花時期とも重なる事が多く、幻想的な空間を楽しむ事が出来ます。

 

一日目の金曜日は、「揃(そろい)」、二日目の土曜日は、「宵宮(よいのみや)」、三日目の日曜日は大変な賑わいを見せてくれ、「宵祭」「例大祭(れいたいさい)」「千秋楽」等、様々な行事を楽しむ事が出来ます。

 

三社祭礼囃子の笛と祢里

三社祭礼囃子は、「大笛」「小太鼓」「大太鼓」「鉦(しょう)」が使用され、「したっ!したっ!」と言う掛け声と共に色鮮やかな「祢里(ねり)が曳き出されます。

特徴の一つとも言える大きな笛は、「特一本調子」と言う名称です。

 

「鉦」とは、少し強引な例え方をすると、金属製の皿のような形状をしており、「鉦」そのものを振動させる事によって奏でる「体鳴楽器(たいめいがっき)」の一種で、その動作から「すり金」とも呼ばれています。

「祢里」とは、「遠州横須賀三熊野神社大祭」で使用される巨大な「二輪屋台」の事で、「一本柱万度型」の一種です。

 

元々は江戸発祥の二輪屋台ですが、「遠州横須賀三熊野神社大祭」に使用される祢里以外は、明治時代頃に本格化された「電線」「路面電車」の普及によって全国的にも殆ど姿を見る事が出来無くなって来てしまいました。

「遠州横須賀三熊野神社大祭」では、周辺の各町が祢里を用意しますので、現在13の祢里を楽しむ事が出来ます。