シュールの意味や使い方は曖昧で、とりあえず、変わった笑いが起きれば、とりあえず、「シュールだね(笑)」と言う方も多いと思います。
元々は、フランス芸術の形態や思想の一つ「シュルレアリスム」から来ています。
今まで、何となく使っていたからと言っても、私達日本人の殆ども、特に深くは考えす、何となく使っているだけですので、ニュアンスだけ伝わっていたのであれば、正解かも知れません。
もし、「シュールの正しい使い方も分かっていないのか君は!」と指摘されたのでしたら、その事を指摘した人がシュールなのかも知れませんね。
シュールの意味を簡単でわかりやすく
簡単でわかりやすく言うと、「非日常的な笑い」です。
「非現実的な」「現実離れしてしまっている」と言う意味が本来の意味ですが、日本に「シュール」と言う言葉は浸透して来た頃から、少し曲解されていたと言われています。
「シュルレアリスム」自体は、法則、重力、常識等から逸脱しているような世界観、絵画、文学等のように、まるで、空想の世界、夢の世界を覗いているような芸術を意味しています。
現在の日本で使われるシュールは、何だかよく分からないけれど笑える時、一見すると奇妙だけれでも何となく面白い時等の感想としての意味合いが強いです。
少し前で言うと、「PPAP(ペンパイナッポーアッポーペン)」がシュールな笑いの意味を簡単で分かりやすく伝えてくれると思います。
ただ、注意が必要な事は、その造形や映画等の芸術作品に対して、「その◯◯、シュールだね」と言う「シュルレアリスム」本来の意味を使っての感想を、笑い話として解釈してはならないと言う事です。
「シュルレアリスム」本来の意味を把握している人は、「その作品は、非現実性の中にも、美しさや感動が有り、芸術としての価値が高い」と言う事を伝えたいのに関わらず、「シュール=非現実的な笑い」の意味でしか解釈出来ていない場合、会話にズレが生じてしまうと思います。
つまり、「シュール」は、「非現実的な芸術や思想」ですんで、「笑い」の意味に直結しないようにすると、単語の幅が広がると思います。
シュールの意味に合った使い方
そもそも、「シュルレアリスム」は、造語の固有名詞ですので、「この車、トヨタってる!(トヨタらしさが有る車だ!)」大衆車を見て「トヨってる車」と言っているような物です(トヨタは好きですが・・・)
例えば、プールで、子供が一生懸命、100メートル泳いでいるとします。
そこへ、アフロヘアーをしたタキシード姿の男性が、全力で泳いでいたとします。
その男性が、一生懸命泳いでいるだけだとしても、子供の水泳競技中に大人が割り込む事は、「非現実的」「非日常」ですので、「シュール過ぎる(笑)」と言う方が居られるかも知れません。
他には、現実に存在していれば、必ず倒壊するであろう建物の中で、無数のゴミ、廃棄物、鉄くず等が集まり、動物のような形になってぼんやりとこちらを眺めている絵、スーツを着たり、学者のような服装をした牛、豚、鶏が、会社や常識に飼いならされて死ぬまで使われている人間を見下ろし、談笑している絵が有るとしたら、見る人によっては、「シュールな絵」だと評価してくれるかも知れませんね。
抽象絵画と間違われてしまいがちですが、抽象絵画の意味は、具体的な物では無く、そこに内包するであろう、エネルギー、概念、作者の感動や感想、意見等を絵として表したようなニュアンスです。
ビジネスやマーケティングにおいて、「抽象化して考える」と言うと思いますが、絵では無く、言葉にすると、違いが明確です。
シュールの反対語に関して
フランス語の造語固有名詞「シュルレアリスム」の「非日常的」「非現実的」部分だけ取り出したのが、日本で言うシュールですので、「日常的」「現実的」のフランス語「コモンセンス」が反対語です。
「コモンセンス」の意味は、「常識」「良識が有る」です。
「いや〜コモンしてるね!」「この作品は、コモンセンスを感じる」と言う使い方は有りません。
「シュールすぎる」の意味
ただでさえ、非現実的な意味合いのシュールを超越している意味ですので、「これってシュール過ぎないか(笑)」と言うニュアンスを伝える時に伝えます。
映像、絵画等の芸術作品に対しては使う事は無く、使っている場合は、馬鹿にしている可能性とシュールの意味をいまいち理解していないと言う事になると思います。
よく、度を超えたパロディー映画、芸術性を逸脱して笑いに走った絵、あらぬ方向へ進んでしまい過ぎたお笑い等への賞賛的な意味合いで使わる事が多いです。
シュールな笑いってどんな笑い?
非現実的、非日常的な内容を題材にしている場合が多いです。
芸人や漫画で言うと、本人は至って真面目、でも、内容が余りにも現実離れしてしまっていると言ったニュアンスです。
ただ、現在では、「よく分からない笑い話」「独特な世界観を持った人の笑い」「思いっきりスベってしまっている話」等が、シュールな笑いを誘うと言われています。
王道的な話中心の漫才には、シュールな笑いとはなかなか言わないと思います。
珍妙な服装で現れたり、奇抜過ぎるネタ、突飛なネタ等のように、「その人が醸し出す雰囲気や内容が面白い」事をシュールな笑いと言う場合が多いです。
他には、誰でも知っているようなスーパーヒーローが、哀愁漂う雰囲気で、公園のベンチでラーメンを1人で食べている写真が有るとします。
その写真を見た人は、「シュール過ぎwwwww」と笑う事が有ります。
また、授賞式や結婚式等で、予期せぬ面白い出来事に遭遇した時にも使える時が有ります。
例えば、結婚式会場でハゲた新郎父が手紙を読む時、照明の関係で、ビデオ撮影出来ない位に反射している時等です。
つまり、現代では、シュールを正しい意味等考えず、何かよく分からない場合に使っている場合が多いです。