ふろふき大根とは?由来と味噌を本格派にする方法

「ふろふき大根」は、冬の寒さの中しっかりと美味しく育った大根を「田楽味噌」または「柚子田楽」等で味わう料理で、身体の芯から暖かくなる事が出来、12月の季語として俳句等にも登場する事が有る位です。

本来であれば、「ふろふき」は「大根」以外にも「カブ」「柿」「冬瓜」等、冬の到来を知らせる野菜や果物で作られる料理です。

 

一般的に「ふろふき」料理と言えば、「ふろふき大根」だと答えられる方が多いと思いますが、「柿のふろふき」が存在する事に驚かれた方も多いと思います。

当記事では、ずばり「ふろふき大根とは?」と言う素朴な疑問に対する答えと、その由来と味噌を自宅で簡単に本格的な味にする方法について説明させて頂きます。

 

ふろふき大根の由来とは?

由来には数種類有りますが、冬の寒い時期に熱い大根を「フー・フー」とまるで「風呂吹き」をしているかのような仕草で食べる事から、「ふろふき大根」と呼ばれ始めたと言う説が有力だと言われています。

「風呂吹き」は、当時の風呂が「蒸し風呂」と呼ばれる状態でしたので、時々、身体に「フー・フー」と息を吹き付ける必要が有ったと言われており、その仕草が非常に似ている事から来ていると言われています。

 

また、「漆器職人由来説」等も有力だと言われていますが、ふろふき大根の名前の由来には、まだまだ沢山の説が存在します。

元々、「漆器」を塗る為に使用される「漆(うるし)」は、「樹液」から生成された「樹脂」に近い物ですので、冬の季節になると仕上がりに時間が必要になり、どうしても効率が悪くなってしまいます。

 

漆器職人は「漆」の乾燥に時間がかかり過ぎてしまう事で悩んでいた所、漆器を乾燥させる「室」で大根の茹でれば、部屋の温度と適切な湿度が上がるので「漆」が乾燥する時間が早くなると「僧」から助言されます。

当時、漆器を乾燥させている「室」の事を「風呂」と呼び、漆器職人1人では大根を食べ切る事は出来ませんし、第一飽きますので、周囲に配り、美味しさから有名になった事が由来と言う説も有ります。

 

ふろふき大根の作り方

大根は皮を剥き、3〜4センチ位の「輪切り」にし、どちらか片方に「隠し包丁」と呼ばれる火通りを目的とした「十文字」の切れ込みを入れ、可能であれば「煮崩れ」を考えて「面取り」した方が良いと言われています。

茹でる時は、ふろふき大根がより白く仕上げる為に、「米のとぎ汁」もしくは「お湯に牛乳」を使用する事が多いと思いますが、「米のとぎ汁」が本来の作り方です。

 

大根を茹でる時は、強火で沸騰させ、中火位で30分以上煮、串等が「スッと」入る位を目標にして煮ます。

もし、「アク」による雑味等が気になる方は、中火で茹でている最中、適度に「アク抜き」をした方が良いと言われていますが、茹でた後に流水で洗う事を考えた場合、「好みによる」とも言われています。

 

大根の下茹でが終わった後は、表面をさっと「かたしぼり」した「リードペーパー」「タオル」等で拭いた「昆布」を水に沈め、大根を並べます。

「昆布」の表面の白い粉状の物質は「マンニット」と呼ばれる「旨味成分」その物ですので、あまり取り除かないようにし、鍋から長時間離れないのであれば、大根が2〜3センチ程度浸かるような水分量にします。

 

水分量が多過ぎた場合、鍋の中で大根が動き過ぎてしまい、煮崩れの原因になりますので、途中で水を足す位で良いと思います。

ふろふき大根には、砂糖や味醂を少し入れる方も居られますが、本来であれば、「塩少々」「薄口醤油」で味を整えます。

 

茹でる時は「塩少々」で茹でて、仕上げに「薄口醤油」で整えますが、仕上げに田楽味噌を大根に乗せますので、そこまで濃い味付けにする必要は無いと思います。

「薄口醤油」を初めから入れる方も居られますが、醤油は「香り」が重視されますので、仕上げに入れないと折角の香りが勿体無いと思います。

 

盛り付ける時は、「柚子味噌」もしくは「田楽味噌」を大根にかけ、料理慣れされている方でしたら、「柚子ピール」を乗せるとより美しい仕上がりになりますし、「煎りゴマ」も綺麗で香ばしい香りが加わって香りに奥行きが出ます。

また、「青ネギ」の細く刻んだ物も良いと思います。

 

ふろふき大根の味噌選び

季節的にも「柚子風味の田楽味噌」が良く、無ければ「柚子ジャム」と「出汁」を味噌に入れて軽く煮詰めた物が簡単で、もし可能であれば、「卵黄」を加えると「コク」が出てお店らしい味が出ます。

切り干し大根の作り方の基本と煮物の作り方」の記事も参考にしてみて下さい。