お彼岸の季節が近づくと、スーパーや百貨店、コンビニ等で「おはぎ」が並び、「今年もお供え物を用意する時期が来た」と思われる方も多いと思います。
当記事では、お彼岸のお供え物におはぎが選ばれる理由について説明させて頂きます。
お彼岸のお供え物におはぎを選ぶ理由
元々、おはぎに使用されている「小豆」には、身体に悪影響を及ぼす「気」を払う効果が有ると信じられて来ており、お彼岸以外にも、「四十九日」に提供される事でも有名だと思います。
お供え物としての「おはぎ」が私達の生活に浸透し始めたのは、「小豆」を甘く煮る為の「砂糖」が比較的入手しやすくなったと言われている「江戸後期」「明治時代」からだと言われ、ご先祖様を供養する時のお供え物として親しまれて来ました。
特にこの頃は、それこそ現在のように、甘い物を好きなだけ食べられる時代では有りませんでしたので、いわゆる「贅沢品」をお供え物として提供していたとも考えられます。
お彼岸は、ご先祖様に対して感謝する為の習慣ですので、普段では、そこまで簡単に食べる事が出来ない甘い贅沢品で感謝の気持ちを表したのかも知れません。
お供え物とおはぎ
基本のおはぎの作り方は、「もち米」と「うるち米」を合わせた物を蒸し、食感が残る程度に半分位潰して丸めます。
その後、小豆が半分位残る程度に潰した物で包み込む物を「おはぎ」と呼びます。
もちろん、米を混ぜずに単種のみで作る地域も有りますし、小豆を完全に「裏ごし」して滑らかさを出す地域や、「小豆のおはぎ」と「きな粉のおはぎ」もしくは、「青海苔のおはぎ」をお供えする地域も有ると思います。
漢字では、「御萩」と書き、赤紫色ややや濃い目の美しい「萩」の花が咲いている様子を表しているので、「おはぎ」と呼ばれていると言われています。
元々、「萩」は「秋の七草」の一つで、お彼岸の時期に美しく咲きますし、「小豆」が収穫されるのは、お彼岸が始まる少し前の9月の初め頃から11月頃です。
収穫されて間もない「小豆」は、表面の皮はまだ柔らかく、簡単に潰したり、「裏ごし」する事が出来ますが、表面の皮の柔らかさを活かし、表面の皮を残した状態で提供されている事が多かったと言われています。
その後、「小豆」は数ヶ月経過すると、表面の皮が固くなってしまい、品種改良がそこまで進んでいなかった当時は、「おはぎ」にするには少し皮が「口に残った」と言われています。
この場合は、「おはぎ」では無く、「ぼたもち」と呼ばれていますが、「春」のお彼岸の「ぼたもち」は、表面が固くなってしまった「小豆」を使用する必要が有りますので、「裏ごし」する方が多かったと言われています。
もちろん、現在では「小豆」の品種改良は進んでいますので、分ける必要は無いと思います。
「お彼岸の時期はいつからいつまで?」の記事も参考にしてみて下さい。