松花堂弁当の盛り付けは、幕の内弁当とは違い、「向付(むこうずけ)」「御菜(おさい)」「ご飯」「煮物」から構成されるのが主流です。
正面から、右上に盛り付けるのが「向付」、左上に盛り付けるのが「御菜」、右下に「装う(よそう)」のは「ご飯」、左下に盛り付けるのは「煮物」です。
基本的に「ご飯」「副菜」から構成されている「幕の内弁当」とは異なります。
補足的に説明させて頂きますと、「幕の内弁当」は、「焼き魚」「揚げ物」「煮物」「練り物」「卵焼き」「ご飯」「漬物」から構成されています。
松花堂弁当の盛り付け
松花堂弁当の現在の流れは、「吉兆」の創始者が作り出し、それぞれ、「小鉢」に盛り付けられていました。
もちろん、弁当容器の構造や素材等にも左右されますが、「小鉢」を使用せずに直接盛り付けたからと言って「間違い」になる事は有りません。
ただ、小鉢に盛り付けた方が、お刺身や煮物は食べやすく、やや質素な雰囲気がしてしまう松花堂弁当に「彩り」「華やかさ」「季節感」を加える事が出来ます。
特に「和食」「会席料理」は、「季節感」等を重視する傾向が有りますので、「小鉢」に盛り付けるのも美しいです。
小鉢を使用する場合、「ご飯」の場所にご飯を「よそおう」場合と、「香の物」(つけもの)のみを盛り付ける場合があり、どちらの場合も間違いでは無いと言われています。
松花堂弁当と幕の内弁当の始まり
最近では、コンビニやスーパー等でも手軽に購入する事も可能になって来ていて、境界線や区別が曖昧な物も多く並びますが、「松花堂弁当」は、会席料理屋さんや料亭等で提供される格式が高い弁当で、広義では「会席料理」でした。
昭和に入った頃に、「松花堂」と呼ばれる茶室での食事会の為に、有名な茶道家「貴志 弥右衛門(きし やえもん)が、吉兆創始者「湯木 貞一(ゆき ていいち)」に現在の松花堂弁当の容器を使用して料理を作るように頼んだのが始まりとされています。
一方、「幕の内弁当」は、芝居の最中に役者さんや大道具さん等の芝居関係者が食べていた「簡易的な弁当」で、その後、芝居を見に来た方も、幕と幕の間等の空き時間に食べていた弁当です。
一部の料亭や百貨店等で「高級幕の内弁当」を提供している場合も有りますが、「会席料理」では無く、「本膳料理」に分類されます。
「会席料理」は茶会で提供される事が多い料理、「本膳料理」は冠婚葬祭等の「儀式的要素」が有る場所で提供される事が多い料理ですが、「本膳料理」は元々、「武家」の礼法の一つでした。
「松花堂弁当の配置と由来、調理時のポイント」の記事も参考にしてみて下さい。