柏餅にみそあんは定番?ちまきとの食べ分け

本来、柏餅と言うと「小豆」を使用した餡が基本だと思われている方も多いかも知れませんが、「みそあん」も昔から存在しています。

はっきりとした境界線は無いように感じてはいますが、関東寄りのお店には「小豆あん」と「みそあん」の2種類の柏餅を見かける事が出来ますが、関西より南から九州にかけては、「みそあん」の柏餅をあまり見かけない気もします。

 

柏餅には「みそあん」?

端午の節句は、江戸時代に差しかかる位には、武家を中心に親しまれており、現在で言う所の関東地方では「柏餅」、関西地方では「ちまき」を食べる習慣が定着化して来ました。

端午の節句と言うと「柏餅」と言う方と、「ちまき」と言う方に分かれてしまうのは、「地域性」による物でしか有りません。

 

主に関東寄りの「柏餅」に関しては、「守貞漫稿」に記載されており、「みそあん」は「江戸」を中心とした地域で明確な作り方が確立されていました。

「小豆あん」に関しては、関東の江戸を除く地域で作られる事が多かったようです。

 

当時、柏餅に使用する「みそあん」は、「砂糖入りの味噌」を使用していました。

また、「柏餅」を初節句に食べ、それ以降は「ちまき」を食べるべきだと言う意見も有りますが、文献等に記載されていないようです。

 

「守貞謾稿」と「柏餅」

「喜田川守貞」が、1837年頃から約30年以上の歳月をかけ、「江戸」「京都」「大阪」の無形文化等を記録した全35巻にも及ぶ「百科事典」のような物です。

「柏餅」等の伝統的、地域性の高い食事から、服装や刺青、金融業から神職に至るまで、殆どの情報が網羅されていたとされており、「基本文献」の一つとされています。

 

様々な「柏餅」

最近では、情報や輸送の発達により、「小豆あん」「みそあん」の柏餅を全国どこでも見かける事は可能になって来たと思います。

ですが、売れなければ意味が有りませんので、「ちまき」が一般的な地域や、「小豆あん」地域にみそあんは売りにくいかも知れません。

 

ちなみに、「小豆あん」にも「粒あん」「こしあん」が有り、混ぜ物が無い餅が一般的でしたが、最近では「草餅」を使用した物もあり、「柏の葉」以外の葉を使用した物は、「しばもち」と呼ばれています。

「しばもち」は、関西から九州に至るまでのように、「柏の葉」が確保しにくい地域に多く、北海道から九州まで自生している「猿捕茨(さるとりいばら)」を代用品に使用する事が多いと思います。

 

柏餅は葉っぱの種類によって名称が変わる?」の記事も参考にしてみて下さい。